
ASDの子どもの強いこだわりに親はどう向き合うのか
こんにちは、
発達障がい支援センターの真鍋良得です。
「どうしてそこまでこだわるの?」
「少しくらい我慢してほしい…」
ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんを育てていると、このように感じる場面がある、という方は少なくありません。
服がいつも同じでないと嫌、決まった道しか歩きたくない、予定が少し変わっただけで大泣きしてしまう…。親にとっては小さなことに思えても、本人にとっては大きな問題なのです。
今回は、ASDの子どもの強いこだわりと、親がどのように関われば安心して行動できるようになるのかについてお伝えします。
こだわりは「わがまま」ではない
ASDの子どものこだわりは、単なる好き嫌いやわがままではありません。
変化への不安が強かったり、見通しが立たないことに大きなストレスを感じたりするため、「いつも通り」でいることが安心につながっています。
例えば、毎朝お気に入りのコップで牛乳を飲んでいる子が、別のコップになっただけで泣き出すことがあります。
大人から見ると些細なことでも、本人にとっては安心できる世界が急に変わってしまったような感覚なのです。
無理にやめさせると逆効果になることも
「早くしなさい!」
「そんなこと気にしなくていい!」
このように強く言えば言うほど、子どもはさらに不安になり、気持ちが固まってしまうことがあります。
強いこだわりの背景には、「今の状態を変えたくない」という気持ちがあります。
そのため、力で動かそうとするよりも、「安心して次へ進める橋渡し」をすることが大切です。
「次がある」とわかると切り替えやすい
例えば、公園で遊んでいて帰りたがらないとき。
「もう帰るよ!」と言うだけでは、気持ちを切り替えるのは難しいかもしれません。
そんなときは、
「あと10分遊んだら帰ろうね。」
「家に帰ったら一緒におやつを食べよう。」
と、次に楽しみがあることを具体的に伝えると、安心して行動できる子もいます。
大切なのは、親が約束したことは必ず守ることです。
「帰ったら絵本を読もうね」と約束したなら、忙しくてもできるだけ実行しましょう。
「この人の言うことは信じられる」と感じられることが、安心感につながります。
見える形で予定を伝える
ASDの子どもは、急な変更が苦手なことが多くあります。
だからこそ、言葉だけで伝えるよりも、見える形にすると理解しやすくなります。
例えば、
- イラストや写真を使ったスケジュール
- やることリスト
- タイマーや時計を使った時間の見える化
このような工夫によって、「次に何をするのか」が分かり、不安が減ることがあります。
本当の理由を探してみる
「学校に行きたくない」
「この服は着たくない」
そんなときも、「ダメ」と終わらせるのではなく、
「何が嫌なのかな?」
「どんなことが気になっている?」
と、一緒に理由を探してみることが大切です。
制服のタグがチクチクしていた、教室の音が苦手だった、人が多い場所が怖かった…。
理由がわかれば、工夫できることも見えてきます。
問題行動だけを見るのではなく、その奥にある気持ちを理解しようとする姿勢が、親子の信頼関係を深めていきます。
まとめ
ASDの子どもの強いこだわりは、困らせようとしているのではなく、「安心して過ごしたい」という気持ちの表れであることが少なくありません。
無理に変えようとするよりも、
- 子どもの気持ちを理解する
- 次の行動がイメージできるようにする
- 約束を守って安心感を育てる
- 見通しを持てる環境を整える
こうした積み重ねが、少しずつ子どもの安心につながります。
私もカウンセリングや講座で、多くの親子と関わってきましたが、親が子どもの特性を理解し、関わり方を少し変えるだけで、親子関係が大きく変わる場面を何度も見てきました。
子どもを変えようとするのではなく、「安心して行動できる環境」を整えること。
それが、ASDの子どもの可能性を伸ばす大切な第一歩になるのではないでしょうか。
