
「どうして自分から聞けないの?」と思ったときに知ってほしいこと
こんにちは、
発達障がい支援センターの真鍋良得です。
「分からなかったら聞いてね」
親としては、当たり前のように伝えている言葉かもしれません。
でも、発達障害がある子の中には、
聞きたいのに聞けない
そんな子がいます。
宿題が終わっても次の行動に移れない。
学校の準備で手が止まる。
分からないことがあるのに、そのまま固まってしまう。
そんな姿を見ると、
「なんで聞かないの?」
「待ってないで動けばいいのに」
と思ってしまうこともありますよね。
けれど、その場面で子どもの心の中では、別のことが起きている場合があります。
子どもは「怠けている」のではなく、迷っているのかもしれません
たとえば、大人でもこんな経験はありませんか?
忙しそうな相手に話しかけるのをためらったり、
質問したいのに言葉がまとまらなかったり。
「こんなこと聞いていいのかな」
そんな不安で、声をかけるタイミングを逃したこと。
実は、発達障害がある子どもたちは、こうした迷いや緊張をもっと強く感じていることがあります。
特に、
・相手の表情や場の空気を読むのが難しい
・頭の中で言葉を整理するのに時間がかかる
・急な切り替えや予定変更が苦手
・失敗への不安が強い
こうした特性があると、
「聞けばいい」
という行動が、とても高いハードルになることがあるのです。
「聞く力」は自然に身につくとは限らない
私たちはつい、
「そのうち自分でできるようになる」
と思いがちです。
もちろん成長とともにできることは増えていきます。
でも、助けを求めることは、実は練習が必要なスキルでもあります。
ある子は、学校のプリントが終わるたびに手が止まっていました。
先生に聞けば済むことなのに、なかなか声をかけられません。
理由を聞いてみると、
「先生が忙しそうだった」
「何て言えばいいか分からなかった」
「前に話しかけた時、タイミングが悪くて恥ずかしかった」
そんな思いを抱えていたそうです。
周りからは見えなくても、子どもの中にはちゃんと理由があることがあります。
家庭でできる「聞きやすさ」の工夫
では、どう関わればいいのでしょうか。
大切なのは、
自分から聞ける子に変えようとするより、聞きやすい環境を作ることです。
たとえば、
① 次に何をするかを見える形にする
「終わったら次はこれ」
が分かるだけでも、不安は減ります。
言葉だけではなく、メモや順番表など視覚的なサポートも役立ちます。
② 聞く言葉を一緒に準備する
「ここが分かりません」
「この部分を教えてください」
「これが終わったので次は何をしたらいいですか?」
こうした言葉を事前に練習しておくと、実際の場面で使いやすくなります。
③ 小さな成功体験を大切にする
勇気を出して聞けた時は、
「聞けたね」
「ちゃんと確認できたね」
と、その行動そのものを認めてあげてください。
結果よりも、頼れたことを肯定してもらえる経験が、自信につながっていきます。
「一人でできる」だけが自立ではありません
私たちはつい、
「自分でできる子になってほしい」
と願います。
もちろんそれも大切です。
でも、本当の意味で生きる力になるのは、
困った時に助けを求められること。
分からないと言えること。
誰かと協力しながら進めること。
そうした力ではないでしょうか。
大人になっても、全部を一人でできる人はいません。
だからこそ子どもにも、
「困った時は頼っていい」
という感覚を育ててあげたいですね。
もしお子さんが止まっていたら、
「どうしてやらないの?」
ではなく、
「何が難しかったのかな?」
そんな視点で見てあげてください。
親の理解が、子どもにとって
「聞いても大丈夫」
と思える安心につながっていくかもしれません。
