
発達特性のある子へ言葉が届くために必要な視点
こんにちは、
発達障がい支援センターの真鍋良得です。
親も先生も、子どもに何か伝えるとき、
つい「言ったよね?」「ちゃんと説明したのに」という気持ちが湧くことがあります。
でも、発達障害のある子の場合、
大人の頭の中の意図やニュアンスが「そのまま受け取られない」ことが多いんです。
ここを理解しているかどうかで、伝わり方が大きく変わります。
大人が気づきにくいポイント
私たちは、相手の表情や空気、文脈から意味を補いながら会話します。
しかし、発達特性のある子は、次のような特性を持っている場合があります。
- 抽象的な言い方ではイメージできない
- ニュアンスを読み取れない
- 「暗黙のルール」が前提になっていると混乱する
大人は無意識に、曖昧な言い方や回りくどい表現をしてしまいます。
それが、「伝えたつもり」「わかるはず」と思わせる落とし穴です。
伝わらないときの例を見てみましょう
たとえば…
- 「ちゃんと片付けてね」
→ 何をどこまでやれば“ちゃんと”になるのか本人は分からない - 「今はやめて!」
→ 何を?なぜ?どこまで?が曖昧 - 「それは違うでしょ」
→ どこが違うのかが説明されていない
大人には十分伝わる内容でも、
子どもにとっては情報が足りていません。
大切なのは「伝え方を意識すること」
その場しのぎの注意ではなく、
次につながる伝え方を意識することが大事です。
ポイントは3つ。
① 否定より「何をしてほしいか」を言う
×「走らないで!」
〇「歩こうね」
② 抽象語を具体化する
×「早く」
〇「10秒後に行くよ」
③ 文脈を省略しない
×「さっきのやつ片付けて」
〇「机の上のブロックを箱に入れてね」
「どう言えば伝わるかな?」という視点に立つだけで、
子どもとのやり取りは驚くほどスムーズになります。
伝わらない経験こそ学びのチャンス
なぜ伝わらなかったのか?
どんな言い方なら届いたのか?
一度立ち止まり、言葉を選びなおすことは、
子どもの理解の助けになるだけでなく、
親自身のコミュニケーション力も育ててくれます。
発達障害だから特別、ではありません。
わかりやすい言葉は、誰にとっても安心です。
最後に
子どもに「伝える」のは、教えるということではなく、つながるということ。
伝わらないのは子どものせいじゃない。
大人の言い方を工夫すれば、関係はもっとラクになります。
今日から少しだけ、
「伝え方」を意識してみませんか。
それが、親子のすれ違いを防ぐ何よりの一歩になります。