心理カウンセラーのブログ

発達障害の問題の本質

更新日:

発達障がい支援センターの宮田武志です。

皆さんは、下の人たちを知っていますよね。
 ●Fukase(歌手 SEKAINO OWARI) ●米津玄師(歌手)
 ●さかなクン(タレント) ●栗原類(モデル・タレント)
 ●トム・クルーズ(ハリウッドスター) 
 ●はじめしゃちょー(YouTuber)
 ●スティーブ・ジョブズ(経営者) ●イーロン・マスク(経営者)
 ●マイケル・フェルプス(水泳選手)
 ●エジソン(発明王) ●アインシュタイン(科学者)
 ●武田双雲(書道家) ●坂本龍馬(幕末志士)

有名歌手やタレント、俳優もいれば、世界企業の経営者やアスリート選手もいます。
それだけでなく、芸術家や発明家、そして歴史を動かした人物までいます。
ここまで読めば話の展開が分かる人もいるでしょう。

この人たちはみんな発達障害の診断を受けている、または、発達障害であったと思われる人たちです。
発達障害があっても国内や世界で活躍したり、大きな偉業を成し遂げることはあるのです。
逆に言うと、発達障害があるからこそ、そこまでの結果を残せたのかもしれません。

発達障害の「障害」という言葉はその人たちのマイナス面を強く印象付けるかもしれません。
事実、上にあげた人たちは発達障害という特性によって苦しんだり、大きな失敗をしたりしています。
しかし、この人たちは発達障害という逆境を乗り越え、周囲の理解や支援を集め、そして自分の個性を最大限に発揮することができたのです。

つまり、発達障害の有無が問題の本質ではないのです。
では一体、何が発達障害の問題の本質なのでしょうか。

今回は「発達障害の問題の本質」についてお話しします。

上で紹介した人以外にも、発達障害を持っていても幸せな人生を歩んでいる人は大勢います。
発達障害の特性を良い方向に生かしながら、集団の中で自分の個性を役立てたり、理解者の中の一人と温かな家庭を築いたりして穏やかで、かつ、充実感あふれる人生を送っている人たちは少なくありません。
その一方、発達障害があるがゆえに「生きづらさ」を感じ、人とのコミュニケーションに苦しみ、今も苦しみながら生活している人もまだまだいるのです。

発達障害の特性を持っているという同じ境遇にもかかわらず、この両者の間には何の違いがあるのでしょうか。
その違いは障害そのものではなく、そこから派生する「二次障害」の有無にあると言われています。

皆さんは「二次障害」という言葉を知っていますか?
二次障害とは、生まれつきの特性がもたらす困難さや不自由さ(一次障害)により、積み重なる自責の念や失敗体験の繰り返し、そしてそれらに対する周囲の無理解や不適切な対応などにより、後天的に生まれてしまう精神的・行動的な問題のことです。
特に発達障害の特性は二次障害を引き起こしやすい傾向にあります。

二次障害の具体的な症状は下のとおりです。
 ・うつ病   ・適応障害  
 ・不安障害  ・パニック症状
 ・対人恐怖  ・希死念慮
 ・依存症   ・自傷行為
 ・引きこもり ・不登校  
 ・過食    ・極端な少食
 ・不眠    ・自律神経失調症

二次障害が起こる理由は当事者と周囲との関り方にあります。
二次障害は周囲という「第三者」が必ず絡んでいます。
発達障害を持つ人は、周囲の人との感覚的なずれや認識の違いに気付きにくく、周囲からすれば「困った行動」のような行動を悪気なく取ってしまうことがあります。
また、たとえそのずれに気付いていたとしても、なぜそのようなずれが起きているのかを当事者自身もよく把握できていないため、自分を責めたり、他者との関係構築に不安を抱いたりするのです。
その結果、周囲とうまくコミュニケーションが取れなくなり、自分の気持ちをうまく伝えられなくなり、自分の思うような行動が取れなくなり、やがて何もできなくなり、自分の殻に閉じこもっていくのです。

さらに、このような当事者に対して周囲が誤解や叱責をしてしまうと、
「私には価値がない」「私は誰とも分かり合えない」「私は誰の役にも立てない」などと感じてしまい、二次障害へと移行するスピードを加速させ、ダメージを深刻化させてしまいます。

つまり、周囲の人たちとの関わり方が発達障害を持つ人の自己肯定感をいちじるしく低下させる場合が多いのです。
そして、その負の場面に直面した結果、発達障害の当事者は二次障害を合わせ持つことになってしまうのです。

今日の本題である「発達障害の問題の本質」とは

発達障害そのものではなく、そこから派生してしまう二次障害のこと

なのです。

では、二次障害に移行させないためにはどうすればいいのでしょうか?
一言でいえば「周囲の人たちの理解と支援」です。
この悪循環から抜け出すには周りの人の理解と関わり方がとても大切です。
 ・当事者の話を聞いて、当事者の世界観を理解する
 ・当事者の世界観を無下に否定せず、「そうなんだね」と共感する
 ・共感を示しながら当事者が力を発揮できる環境へと導く
このような理解と支援が発達障害を持つ人たちの安心感を生み出し、二次障害への移行を防ぎます。
また、防ぐだけでなく、このような関わり方はすでに二次障害を引き起こしている人の改善にも大きな効果を発揮します。

ここまで読んでみて、「どうして周囲ばかりがそこまで配慮しなければならないのだ。」「発達障害とはいえ、それも当事者の責任と努力次第なのではないか」と思う人もいるかもしれません。
しかし、発達障害は生まれ持った脳の障害(特性)であり、本人だけの力ではなかなか周囲と調和したり、深刻化を予防したりすることは難しいのです。
実際、発達障害によって一番苦しんでいるのは本人であることが多く、本人は周囲よりも先に「どうにかしなければ」と誰よりも努力していることも多いのです。
しかし、それが上手く出来ない、上手くいかないからこそ、二次障害という本人さえも望んでいない事態に陥ってしまうのです。

では、ここからは今日のまとめです。
発達障害の問題の本質は発達障害そのものではありません。
発達障害による「困った行動」は表面的なものです。
問題の本質は二次障害です。
二次障害によって周囲との関係性や自分自身への肯定感を欠損させてしまうことが問題の本質です。

しかし、二次障害への移行は周囲の理解と支援で予防したり、改善できたりします。
発達障害のある人達が自信をもって自分の力を発揮できる状況を周囲の力が生み出すことができるのです。
障害がある人も、ない人も、すべての人が充実した社会や日常を創り出していきたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!次回のブログでお会いしましょう。

 
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