
こんにちは、
発達障がい支援センターの真鍋良得です。
子どもに自分で決めてほしい。
そんな思いから、「どっちがいい?」「AとB、どちらを選ぶ?」と、選択肢を用意することがあります。
ところが、せっかく選択肢を示したのに、子どもが怒ったり、黙り込んだり、「どっちもイヤ」と言ったりすることがあります。
親としては、
「自分で選べるようにしてあげたのに……」
と思ってしまいますよね。
でも、ここで大切なのは、選択肢を与えれば、必ず自己決定しやすくなるわけではないということです。
「選べること」がプレッシャーになることもある
例えば、朝ご飯のあと、出かける準備をしているときに、
「先に着替える?それとも先に歯みがきする?」
と聞かれたとします。
大人なら簡単に選べるかもしれません。
しかし、子どもによっては、
「どっちかを決めなきゃいけない」
「どちらを選んでも、やらなきゃいけない」
と感じてしまうことがあります。
特に、気持ちを言葉にすることが苦手だったり、予定の変更が苦手だったり、考えることに時間がかかったりする子にとっては、選択そのものが負担になることもあります。
そんな時は、子どもの発達やそのときの状態に合わせて、選択肢の出し方を変えることが大切です。
「どちらか」だけにしない
選択肢を出すときにおすすめなのが、
「A?B?それとも別の方法?」
という形です。
例えば、
「今日は公園に行く?図書館に行く?それとも何か他にある?」
というように、第三の選択肢を用意します。
すると、
「どちらかを選ばなければならない」
という感覚が少しやわらぎます。
「どっちもイヤ」という気持ちも、ちゃんと表現できるからです。
これは、子どもに何でも自由にさせるという意味ではありません。
親が必要な範囲を決めたうえで、その中で子どもが自分の意思を表現できる余地を残すということです。
ただし「3択」がいつも正解ではない
ここは、とても大切なポイントです。
すべての子に、いつでも3つの選択肢を示せばいいわけではありません。
まだ小さい子や、選択すること自体が難しい子の場合は、選択肢が多いと混乱してしまうことがあります。
その場合は、
「赤い靴と青い靴、どっちにする?」
というような、シンプルな2択のほうが選びやすいでしょう。
一方で、ある程度自分の考えを持っている子にとっては、親が用意した2つの中から選ぶことが、かえって窮屈になる場合があります。
つまり大切なのは、
「2択か3択か」ではなく、「その子にとって選びやすいか」
ということです。
子どもの「選べない」を責めない
選択肢を出しても、
「どっちでもいい」
「わからない」
「決められない」
ということがあります。
そんなとき、
「自分のことなんだから、自分で決めなさい」
と急かしてしまうと、さらに選べなくなることがあります。
そんなときは、
「今は決めるのが難しいんだね」
「もう少し考えてから決めてもいいよ」
と、考える時間をつくることも大切です。
場合によっては、
「今日はお母さんが決めようか」
と、いったん大人が引き受けることも必要です。
自己決定を育てるためには、何でも自分で決めさせることより、「自分の気持ちを表しても大丈夫」と感じられることのほうが大切だからです。
子どもに合わせて調整してみる
子どもへの関わり方に「これが正解」というものはありません。
2つの中から選ぶほうが安心する子もいれば、自由度があるほうが選びやすい子もいます。
また、同じ子でも、
「今日は疲れているから選べない」
ということもあります。
だから、
「この子には、どんな選択肢なら選びやすいだろう?」
と考えてみてください。
選択肢を増やすことだけが、自己決定を支える方法ではありません。
子どもの発達、性格、その日の気持ちや疲れ具合を見ながら、選びやすい形に調整する。
それが、子どもの「自分で決める力」を育てることにつながります。
親が用意した選択肢から選ばせることよりも、子どもの「こうしたい」「これはイヤ」という気持ちを大切にする。
そんな関わりを少しずつ増やしていきたいですね。
